2026.06.13

食医食研究室|

加工肉を食べると、がんになるの?― 数値から本当のリスクを考える

食医食研究室 がん予防

加工肉を食べると、がんになるの?― 数値から本当のリスクを考える

食や健康について、皆さんからさまざまな疑問やお悩みが寄せられます。

食医食研究室では、そんな身近な疑問をテーマに、国内外の研究や科学的知見をもとに読み解いていきます。

今回のテーマは、

「加工肉を食べると、がんになるの?」

ハムやソーセージなどの加工肉と、がんの関係が気になる人も多いのではないでしょうか。

「加工肉には発がん性があるの?」

「加工肉は食べない方がいいの?」

研究から、いま分かっていることを見ていきましょう。

 

WHOの専門機関である国際がん研究機関(IARC)は、ハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工肉を「ヒトに対して発がん性がある」と分類しています。

さらに、加工肉の摂取量が1日50g増えるごとに、大腸がんのリスクが約18%上昇するという研究結果があります。

このような分類や数字を、私たちはどう受け止めればよいのでしょうか。

 

「大腸がんのリスクが18%上昇」って、どういうこと?

18%という数字は「相対リスク」を表しています。

加工肉の摂取量が1日50g増えるごとに、大腸がんのリスクが約1.18倍になるということであって、「加工肉を食べ続けた人の18%が大腸がんになる」という意味ではありません。

この1.18倍を多いと感じるか、少ないと感じるかは人それぞれです。

大切なのは、数字の大きさだけでなく、その数字が何を表しているのかを知ることです。

 

日本全体のがんへの影響はどのくらい?

国立がん研究センターでは、日本で発生するがんのうち、加工肉の過剰摂取がどの程度関係しているのかを「人口寄与割合(PAF)」という指標で推計しています。

簡単にいうと、「加工肉の過剰摂取がなかったと仮定した場合、日本で発生するがんのうち、どのくらいを防げたと考えられるか」という考え方です。

その推計では、加工肉の過剰摂取に起因する割合は、がん罹患全体の約0.4%です。

大腸がんリスク18%上昇と、全がん罹患の0.4%。

どちらも間違いではありませんが、見ているものが違います。

そして、どの数字を見るかによって、リスクに対する印象も大きく変わります。

 

結局、加工肉は食べない方がいいの?

加工肉と大腸がんとの関連には、科学的な根拠があります。

だからといって、ハムやソーセージを少し食べただけで、がんになると考える必要はありません。

日本人は欧米と比べて赤肉・加工肉の摂取量が少なく、国立がん研究センターも、日本人の平均的な摂取範囲であれば、赤肉や加工肉が大腸がんのリスクに与える影響は小さいと考えられるとしています。

ただし、これは毎日のように多量に食べても問題がないという意味ではありません。

必要以上に怖がらず、軽視もしない。

そのくらいの付き合い方が現実的ではないでしょうか。

 

食医食が大切にしていること

健康情報では、強い言葉や数字だけが注目されることがあります。

しかし、その言葉や数字が何を基準に、何を表しているのかまで見なければ、本当のリスクは分かりません。

大切なのは、言葉や数字の印象だけで「怖い」「安全」と両極端に判断しないことです。

そもそも、毎日の暮らしから病気のリスクを完全に取り除くことはできません。

食医食でも、活性酸素の視点を含め、病気につながるリスクをできるだけ減らしていくことを大切にしています。

一方で、健康のための情報が過度な不安やストレスにつながってしまっては、本来の目的から離れてしまいます。

正しく知り、自分の暮らしの中で無理なく、より良い選択をしていく。

それが、食医食が大切にしている健康との向き合い方です。

 

[参考文献]

1.International Agency for Research on Cancer(IARC)
IARC Monographs evaluate consumption of red meat and processed meat.

2.国立がん研究センター がん対策研究所
「赤肉及び加工肉の過剰摂取に起因するがんの割合」
JAPAN PAFプロジェクト

3.国立がん研究センター がん対策研究所
「赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて」
JPHC Study

※本記事は、国内外の研究や科学的知見をもとに、食と健康について考えるための情報を紹介しています。