2026.04.27

食医食研究室|

お酒は少量でも体に悪い? ― これからのお酒との付き合い方

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お酒は少量でも体に悪い? ― これからのお酒との付き合い方

食や健康について、皆さんからさまざまな疑問やお悩みが寄せられます。

食医食研究室では、そんな身近な疑問をテーマに、国内外の研究や科学的知見をもとに読み解いていきます。

第二回目のテーマは、

「お酒は少量でも体に悪い?」

「お酒は適量なら体に良い」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

「少しなら健康に良いの?」

「少量でも病気のリスクはあるの?」

「健康のためには、やめた方がいいの?」

研究から、いま分かっていることを見ていきましょう。

 
「少しなら体に良い」は本当?

以前は、少量のお酒を飲む人の方が、まったく飲まない人より健康状態が良いという研究結果があり、「適量のお酒は体に良い」と考えられていた時期がありました。

しかし、その後の研究で、単純にはそう言えないことがわかってきました。

たとえば、お酒を飲まない人の中には、病気や体調不良をきっかけにお酒をやめた人も含まれています。

この場合、「お酒を飲まないから健康状態が悪い」のではなく、「健康状態が悪くなったからお酒をやめた」ということになります。

また、少量のお酒を飲む人の健康状態が良かったとしても、それがお酒によるものとは限りません。

食生活や運動、経済状況、人とのつながりなど、ほかの要因が影響している可能性もあります。

つまり、少量のお酒を飲む人が健康に見えても、「お酒を飲んだから健康になった」とは言い切れないということです。

そのため現在では、健康のためにお酒を飲むことを積極的に勧める根拠はないと考えられています。

 
なぜ「少量でもリスクがある」と言われるの?

大きな理由のひとつが、がんです。

アルコールは、口腔・咽頭、喉頭、食道、肝臓、大腸、女性の乳房など、複数のがんとの関係が確認されています。

そして現在の研究では、「この量までなら、がんのリスクがまったく増えない」と言える明確な量は確認されていません。

WHO(世界保健機関)も、アルコールについて「健康への影響がない安全な量は確認されていない」という考え方を示しています。

ただし、ここで注意したいことがあります。

これは、「少し飲んだだけで、すぐに大きな健康被害が起こる」という意味ではありません。

「少量でもリスクはゼロではない」ことと、「少量でも非常に危険」ということは同じではありません。

ここは、分けて考える必要があります。

お酒には「楽しみ」という側面もある?

お酒には健康上のリスクがある一方で、食事や人との交流など、私たちの暮らしの中で楽しまれてきた側面もあります。

家族との食事で一杯楽しむ。

友人との会食で乾杯する。

週末に好きなお酒をゆっくり味わう。

こうした時間を楽しみにしている人もいるでしょう。

中年男女を対象とした観察研究では、まったくお酒を飲まない人や多量に飲む人に比べ、適度に飲む人の方が、その後の生活満足度などが高い傾向が報告されています。

つまり、お酒そのものの健康への影響と、お酒を楽しむ時間や人とのつながりから得られる生活の豊かさは、分けて考える必要があります。

 
食医食が大切にしていること

食医食では、健康を一つの食品や習慣だけで判断するのではなく、暮らし全体から考えることを大切にしています。

お酒についても同じです。

現在の研究からは、健康のためにあえてお酒を飲む必要はありません。

一方で、お酒を楽しむことまで否定する必要もないと考えます。

大切なのは、健康上のリスクを理解したうえで、自分の暮らしの中でどう付き合うかを考えることです。

飲むのであれば、量や頻度を抑えて楽しむ。

飲まなくても楽しめるのであれば、無理に飲む必要はない。

食事・運動・睡眠・休養・ストレス・人とのつながりなど、暮らし全体のバランスを整えながら、自分に合った付き合い方を選ぶ。

それが、食医食が大切にしている考え方です。

食医食研究室では、これからも一つの情報だけで「良い・悪い」と決めつけるのではなく、研究から分かっていることを整理し、毎日の暮らしの中でどう考えるかをお伝えしていきます。

 
[参考文献]
World Health Organization Regional Office for Europe.
No level of alcohol consumption is safe for our health. 2023.
― アルコールと健康リスクについて。

Anderson BO, et al.
Health and cancer risks associated with low levels of alcohol consumption.
Lancet Public Health. 2023;8:e6–e7.
― 少量飲酒とがんリスクについて。

Sæther SMM, et al.
Prospective associations between alcohol consumption and psychological well-being in midlife.
BMC Public Health. 2022;22:204.
― 飲酒と心理的ウェルビーイングについて。

※本記事は、国内外の研究や科学的知見をもとに、食と健康について考えるための情報を紹介しています。